同社は「安全・セキュリティ・サステナビリティ」を科学的根拠で担保するリーダーとして、既存事業の有機的な拡大とターゲットを絞った買収（M&A）を組み合わせて成長を図っています。2024年の連結売上高は約28.7億ドルで、成長戦略の柱はコア事業の拡大、買収による成長投資、そして業務改善によるマージン拡大です。具体的には、既存顧客への提供範囲を広げて「シェア・オブ・ウォレット」を上げるとともに、サービスのクロスセル・アップセルを加速させ、再発生する収益源を増やすことで安定的な成長を目指しています（参考：2024年に約65％の戦略アカウントがソフトウエア／アドバイザリーも併購買しています）。

同社は重点投資分野として、従来の試験・検査・認証（TIC）に加え、ソフトウエアとアドバイザリー（S&A）領域を重視しています。TIC分野では、エネルギーやコネクテッド製品など相互接続性が高まる領域で新たな安全・互換性評価への需要が増しており、これに対応するラボ設備や専門人材に投資しています。S&A分野では、サプライチェーン透明性や規制対応、サステナビリティ運用を支援するソフトウエアを拡充し、繰返し収益の拡大を意図しています。投資の具体例として、2024年のセグメント別設備投資は合計で約1.61億ドル（工業部門96百万ドル、コンシューマー34百万ドル、S&A31百万ドル）という規模で実行しています。

新市場開拓と事業拡大は、買収と有機成長の両輪で進められています。過去数年で太陽光・電力系のグリッド認証や自動車関連、医療機器向けの専門会社を買収しており（例：CERE 約1,400万ドル、Kugler Maag 約3,200万ドル、Cimteq 約1,500万ドル、Data Test Labs 約1,600万ドル、KBW 約1,800万ドル、Healthy Buildings 約600万ドル）、今後も「ボルトオン（機能補完）型」や業界横断の変革的な案件を資本投入で取り込みます。一方で新規案件の営業期間はサービスによって6か月〜1年の長期化が常態化しており、顧客獲得に伴う初期投資や人的資源の確保が必要になる点も明示しています。

技術革新については、顧客向けのデジタル化と内部の業務効率化を両立させる取り組みを進めています。顧客接点では「myUL」や「UL Product iQ」といったポータルの提供や、2024年1月に統一ブランド「ULTRUS」を立ち上げてサプライチェーン管理や規制対応を支援するソフトウエアを強化しました。社内ではOracle、Microsoft、Salesforceといった基盤の上に独自の顧客向けデジタルソリューションを構築し、業務の標準化とデータ活用でサービス提供のスピードと品質を高め、マージン改善につなげることを目指しています。

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