同社は運用資産残高（AUM）の拡大と事業収益源の多様化を目指しています。2024年9月30日時点で運用資産は409億ドル、管理物件は2,000件超に達しており、私募資本（プライベートキャピタル）は128億ドルと2021年比で111億ドルの増加を示しています。成長資金は手元資金や将来の営業キャッシュフローを活用するほか、必要に応じて株式発行や負債を利用して追加の買収や新たな顧客のシーディングを行う計画です。2023年のMPC買収（現RMR Residential）は買収時点で約55億ドルのAUMを追加し、この拡大方針を実証しています。

重点投資分野では、上場型不動産投資信託（REIT）、私募資本、居住用（マルチファミリー）、ホテル、シニアリビング、そして不動産ローンなど複数セグメントを組み合わせて差別化を図っています。同社は垂直統合型の運用体制を強みとし、米国内35拠点以上に1,000人超の不動産専門家を擁しているため、取得・資金調達・共同事業パートナーの探索・再開発・資産の入れ替え（キャピタルリサイクリング）などをワンストップで提供できます。さらに創業以来の実績として、顧客の資金調達支援で約460億ドル超のファイナンスを約190件で実行しており、経営陣の経験と顧客間のシナジーが差別化要因となっています。

新市場開拓と事業拡大では、MPC買収によるサンベルト中心の居住用市場参入や、私募資本の積極的拡大を通じた収益ソースの多様化を進めています。具体的には、トレモントが運営するビークルで小規模なローンポートフォリオを形成し、銀行の買戻し枠を活用して成長資金を調達した上で外部投資家を呼び込む計画です。実際に2024年7月には、ホテル担保の第一抵当ローン約4,000万ドルと産業用資産担保の第一抵当ローン約2,700万ドル（うち約1,718万ドルを既に資金供給）を組成するなど、貸付ビジネスの拡大にも着手しています。

技術革新への取り組みでは、MPCがもたらしたデジタルマーケティングとインフラ能力をグループ全体へ横展開することに重点を置いています。同社はサイバーセキュリティ対策を国立標準技術研究所（NIST）フレームワークに沿って整備し、ペネトレーションテストや従業員向けのフィッシング訓練、サードパーティベンダーのリスク評価を定期的に実施しています。最高情報責任者（CIO）を中心に外部評価も導入しており、投資機会の発掘や資本市場でのアクセス強化を支えるIT・セキュリティ基盤の充実を図っています。

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