同社は2024年の大幅な市場縮小からの回復を主眼に、国内需要の戻りを取り込みながら売上と利益の回復・拡大を目指しています。アルゼンチン経済の2025年のGDP見通し（約年率4.5％）を追い風に、セメント市場の落ち込み（前年は約24％の縮小）からのシェア回復を狙っており、株主向けには2024年時点でオプショナル準備金としてPs.153,810百万を積み立てるなど配当・資本政策の柔軟化も進めています。顧客基盤は約1,000社にのぼり、上位20社でセメント販売量の約42％を占めるなど安定した需要源を持っている点も強みです。

同社は販売・流通網と顧客サービスへの投資を差別化の中核に据えています。大宗販売は直販と中小流通網の両輪で行っており、流通・販売チームは約64名、流通強化や店頭改善、ブランド強化（サッカー等の広告活用）を通じて販売拡大を図っています。技術センターによる品質管理や顧客向け技術支援で差別化した製品ラインを提供し、商品の適合化・高付加価値化でマージン改善を目指しています。人材確保のためのストックベースの長期報酬制度については、2024年11月に現金決済への切替を決めるなど柔軟に運用しています。

事業拡大では地理的な販売網の拡大と事業ポートフォリオの多角化を進めています。報告書のセグメント数値では、2024年は合計で2,821（報告書記載の数値）を計上しており、セメント1,424、骨材717、コンクリート263、鉄道関連1,028といった複数事業を通じて需要変動のリスク分散を図っています。首都圏以外の地域販売強化や流通拠点の増設、ディストリビューター向けの長期関係構築を通じて地方市場の取り込みを進め、建設需要の回復局面での成長を狙っています。

技術革新とサステナビリティ投資にも力を入れています。同社は技術センターでの研究開発を通じて混合設計や製品品質改善に取り組むほか、温室効果ガス削減、循環型資源の活用、エネルギー源の多様化（廃熱回収や代替燃料の活用など）を重点分野として環境管理システム（ISO 14001）に基づく監査を実施しています。かつて実施していた海外親会社からのノウハウ移転や、内部統制強化（米国上場規制への対応）なども含め、運用効率と環境性能を同時に高めることで長期的な競争力向上を目指しています。

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