同社はネットワークの利用拡大と収益の質向上で成長を目指しています。2024年のサービス収入はおよそ10.36億ドルで、そのうちオンネット（自社回線直結）収入が約5.45億ドル、オフネット（他社回線を使う部分）収入が約4.54億ドルと、オンネット比率の向上でマージン改善を図っています。保有する長期資産は総額で約17.38億ドル（うち北米が約15.79億ドル）にのぼり、同社は自社設備の稼働率を上げることを通じて売上拡大を狙っています。株主還元でも四半期配当1.005ドル（2025年第一四半期で約4,780万ドルの支払見込み）や、総額5000万ドルの自社株買い枠（2024年末で約2240万ドルの余裕）がある点も資本配分の重要な柱です。

同社は重点的にオンネットの拡張、データセンターと高容量回線への投資を進め、差別化を図っています。既存の強みとして56カ国、3,453棟の接続拠点、うち1,871棟の大型オフィスビルを持ち、これを生かして顧客により速い提供時間（多くのオンネットサービスは2週間以内に導入可能）や高い信頼性を訴求しています。加えて、顧客に提供するポート速度は100Mbpsから最大400Gbpsまで用意しており、大容量トラフィックを扱うコンテンツ事業者や通信事業者に対して容量・地理的な広がりで差をつけようとしています。

新市場開拓や事業拡大は買収とキャパシティ投資の両面で進められています。2023年5月のSprint事業買収で大口のエンタープライズ顧客を取り込み、買収に伴うIPトランジットの契約は総額700百万ドル（支払スケジュールは初12か月で月約29.2百万ドル、その後は月約8.3百万ドル）といったキャッシュインフローを見込んでいます。また、オンネット外の市場をカバーするため700社超の回線事業者と提携し、600万棟以上の商業ビルへのアクセスを確保しており、さらに暗い光ファイバー（ダークファイバー）の使用権に関しては将来受け入れ分として約1.843億ドルの支払い義務をコミットしています。一方で2026年5月に満期を迎える社債があり、資金調達・リファイナンスの必要性はリスクとして注視されています。

技術面では光回線による波長サービスや光伝送サービスの拡大に注力し、すでに米国・メキシコ・カナダで808箇所のデータセンターで波長サービスを提供しています。波長（光の専用経路）は大容量かつ専用帯域を安価に提供できるため、同社の高付加価値戦略に直結します。また機器の「グルーミング（再配置）」によってコストを抑えつつ設備を長く使う運用を行い、無形資産ではIPv4アドレスを4.58億ドルで取得して耐久的価値を評価するなど、ネットワーク資源と技術の最適化で競争力を高めています。設備投資・購入義務としては約1.072億ドルの未払約束や将来のIRU支払予定が存在し、これらを踏まえた技術投資が今後の成長の鍵になります。

COGENT COMMUNICATIONS HOLDINGS, INC.CCOI