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DENTSPLY SIRONA Inc.XRAY
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事業内容
DENTSPLY SIRONA Inc.は、歯科向けの機器・材料や矯正用アライナー、歯科インプラントに加え、排泄ケア向けの医療消耗品を設計・製造・販売する医療機器メーカーです。同社は診断から治療、補綴や矯正までをカバーする製品群と、機器に連動するデジタルサービスを組み合わせたソリューションを提供しています。
主要顧客は歯科医院や歯科技工所、病院・クリニック、流通業者で、売上は機器の導入販売と繰り返し購入される消耗品、ソフトウエアや保守などのサービス収入が柱になっています。同社は欧州や北米、アジア太平洋など世界各地に販売網を持ち、地域ごとの需要と消耗品の継続購入が安定した収益源になっています。
事業は大きく分けて、歯科用テクノロジー・機器、矯正ソリューション(臨床向けアライナー等)、インプラントと補綴物、そして排泄ケア製品の四つの柱で成り立っています。同社はクラウドベースのデジタルプラットフォームや臨床教育拠点を通じて診療ワークフローのデジタル化を進め、製品販売に加えてソフトウエアや教育サービスで付加価値を高めようとしています。
経営方針
同社は株主価値の向上と業績改善を成長戦略の中心に据えています。2024年に承認した「2024プラン」では、2025年末までに事業再編を完了させ、非継続的費用として3500万〜5000万ドルを見込みながら年間8000万〜1億ドルのコスト削減を目指しています。従業員数は全社で約2〜4%の純減を想定しており、既にこの再編に伴う費用や資産減損を計上しています。資本配分では、設備投資を含む2025年の資本支出を約1.6〜1.9億ドルと見込みつつ、株主還元のための自社株買いも継続しており、2024年は約2.5億ドルを株式買戻しに充て、買戻し枠は約12億ドル残っています。
重点投資分野は歯科用機器・技術、インプラント、アライナー、ならびに大人用の排泄ケア製品(Wellspect)に集中しています。差別化戦略としては、製品単体ではなく診断から治療・補綴までのデジタルワークフローを一貫提供することにより顧客の導入障壁を下げ、臨床教育ネットワーク(世界57のアカデミーや2024年に開催したDS Worldでの計7,000名超の参加など)を通じてプロフェッショナルとの関係を強化しています。研究開発はリターン重視の企業横断的な資金配分で効率化を図り、外部とのライセンスや買収も成長手段として活用しています。
新市場開拓と事業拡大では、既存のディストリビューション関係の見直しや地域ごとの販売力強化が柱です。2024年には米加で主要ディストリビューターの一つであるPattersonとの非更新通知を出しており、再契約交渉や代替チャネルの確保が課題になっています。直販と間接販路を組み合わせつつ、Byteの直接販売事業は停止・整理され(2024年第4四半期に約1.87億ドルの資産減損を計上、売上の減少要因として3500万ドルの返金引当て等を計上)、その技術や人員はSureSmileを含む臨床主導のアライナーポートフォリオや患者モニタリングへ再配分して市場展開を続ける計画です。加えて買収・売却を通じたポートフォリオ最適化も継続的に検討していますが、統合や規制対応などのリスクは引き続き注視しています。
技術革新への取り組みはデジタル化とデータ活用が軸です。同社はクラウドベースのプラットフォーム(DS Core)を中心に、スキャニングから治療計画、製造までを繋ぐデジタルワークフローを整備し、人工知能や機械学習の導入で診断・治療の精度向上と運用効率化を図っています。また、全社的な基幹業務システム(ERP)の段階的導入により業務標準化とコスト構造の改善を狙っており、ERPや研究開発、設備更新への投資は今後数年間で継続する見込みです。一方で為替変動やERP導入遅延、規制対応などが収益に与える影響もあり、同社はヘッジや段階的導入でリスク管理を行いながら技術革新を進めています。