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事業内容
QUALCOMM INCは、無線通信の基盤技術と高性能・低消費電力の半導体を核に、スマートフォンなどの接続機器向けプラットフォームを開発しています。同社はチップ設計とそれに伴う技術の特許・ライセンスを二本柱に事業を行い、近年は端末内で動く人工知能や自動車・IoT向けの応用にも注力しています。
収益の中心は、集積回路製品の販売と技術使用料で、スマートフォンメーカーや端末メーカー、通信事業者、さらには自動車メーカーや産業向けの顧客からの売上が大きいです。同社は大口顧客に売上が集中する傾向があり、製品発売のタイミングや需要の変動が業績に影響します。
事業は大きく半導体事業とライセンス事業に分かれており、半導体側では通信や処理機能を統合したプラットフォームを展開して自動車のコネクティビティや運転支援、車内体験といった分野にも進出しています。同社は主要なソフト環境に対応するとともに、研究開発と戦略的投資でAIや次世代通信技術の差別化を図り、モバイル以外の領域での事業拡大を進めています。
経営方針
同社は従来のスマートフォン向け事業を足場に、モバイル以外の分野へ成長を目指しています。具体的には自動車向けの「デジタルコクピット」や運転支援・自動運転(ADAS/AD)、IoT/エッジ機器、個人用コンピュータや拡張現実などへ技術と製品を横展開することで、売上基盤の多様化とプレミアム市場での地位維持を図っています。財務面では研究開発費を積極投下しており、2024会計年度のR&D支出は約88.9億ドル($8.9 billion)、営業活動でのキャッシュ創出も強く、同年度の営業キャッシュフローは約122.0億ドル($12.2 billion)でした。株主還元では既存の1,000億円相当($10 billion)規模の自社株買い枠で残り約10億ドルが未消化だったところに、2024年11月6日に新たに150億ドルの買い戻し枠を追加発表しており、配当と合わせて資本配分を重視しています。
同社は差別化のため「チップの高度な統合力」と「オンデバイスで動く人工知能(AI)」に重点投資しています。具体的にはモデムや無線部品、グラフィックス、カメラ機能を一つのプラットフォームに統合したSnapdragon系製品や、車載向けプラットフォームを含む「Snapdragon Digital Chassis」を武器に、性能と低消費電力を両立する設計で他社との差別化を図っています。AI分野には長年投資を続けており、特に省電力で端末内処理が可能な「オンデバイスAI」の研究を強化しています。技術獲得や人材補強のために買収や出資も行っており、過去には自動車ソリューション関連で大きな資金投入を行っています。
新市場開拓については、同社は単に製品を売るだけでなく、開発者やOSベンダーとの連携によりエコシステム全体を拡大する方針です。AndroidやWindows、Linuxといった主要ソフト環境をサポートすることで、新しいデバイスカテゴリでの採用を促進し、ライセンス収入とチップ販売の両輪で収益機会を増やそうとしています。成長・多角化を支える設備投資も想定されており、2024会計年度の設備投資は約10億ドル($1.0 billion)でしたが、近い将来さらに増加する見込みとしています。一方で、買収や戦略投資は規制承認や統合コストなどのハードルを伴うため、同社は選別して資本配分を行う方針です。
技術革新への取り組みでは、同社は研究開発を中核戦略と位置づけ、世界各地の開発拠点に継続投資しています。AIの基礎研究からプラットフォーム化、応用研究まで一貫して行い、特に「省電力」と「個人化」を重視して日常体験に溶け込む技術を目指しています。加えて環境・社会・ガバナンス(ESG)面でも2040年までのネットゼロ目標や中間削減目標を掲げ、顧客のサステナビリティ要件に応えることで取引機会を維持する方針です。供給面ではファブレスモデルのため外部サプライヤー依存があることを踏まえ、供給確保や品質管理、サプライチェーン投資を並行して進めています。