PTC INC.PTC

時価総額
$246億
PER
65.4倍
製造業向けのPLM・CAD・ALM・SLMなどのソフト企業の大手。クラウドネイティブのSaaSやCreo等のCAD、Codebeamer等のALMを展開。2023年のServiceMax買収、2022年4月のIntland Software買収。世界で3万社超の顧客、米国・欧州・アジア展開。

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企業概況
110文字)
業績概況
テーマ
2項目)
ブランド
2項目)
ライバル企業
2社)
同業種の日本企業
2社)

事業内容

PTC INC.は、製造業や製品開発企業向けのデジタルソリューションを手がけるソフトウェア企業で、設計から製造、保守まで製品の一生をデジタルでつなぐことを支援しています。主力には製品データ管理やライフサイクル管理、3次元設計ツール、ソフトウエア開発支援、現場サービス管理などがあり、クラウド型のサービスも展開しています。

同社の顧客は産業機械、航空・防衛、エレクトロニクス、自動車、医療機器など幅広い分野に及び、世界で約3万社をサポートしています。収益はサブスクリプション中心の継続収益型で、2024年度は約9割が繰り返し入る収入となっており、既存顧客の導入拡大が成長の主な原動力です。

事業は大きく製品ライフサイクル管理(PLM)、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)、サービスライフサイクル管理(SLM)、コンピュータ支援設計(CAD)、およびクラウド型サービスの五つの領域に分かれています。具体的には、設計・検証を支えるCAD、製品データを一元管理するPLM、ソフトウエアを含む製品開発を加速するALM、現場の稼働率を高めるSLMと部品管理、さらにIoTや拡張現実を組み合わせたクラウドサービスで顧客のデジタルトランスフォーメーションを支援しています。

経営方針

同社はARR(年換算の定常収益)や営業キャッシュフローの拡大を通じて長期的な株主価値の向上を目指しています。具体的にはFY2024でARRが前年から14%増の約22.5億ドルに達し(為替一定ベースで12%増)、売上高は10%増、営業活動によるキャッシュは7.5億ドル、フリーキャッシュフローは7.36億ドルと順調に伸びています。バランスシート面では期末現金が約2.66億ドル、総有利子負債は約17.5億ドル(平均金利約5.1%)で、取締役会は2024年10月〜2027年9月の期間で最大20億ドルの自社株買い枠を認めています。

同社は製品ライフサイクル管理(PLM)、アプリケーションライフサイクル管理(ALM)、サービスライフサイクル管理(SLM)、3次元設計(CAD)、そしてクラウド型ソフトウェア(SaaS)の5領域を重点投資分野と位置づけています。差別化戦略としては、設計から製造、保守までの「デジタルスレッド」による一貫したデータ基盤を提供し、既存顧客へのクロスセルでシェアを拡大する点を打ち出しています。実績面では2024年の収益の約93%が定常収益であり、約75%を直販で獲得しているため、既存顧客の導入拡大が主な成長エンジンになっています。

新市場開拓や事業拡大では、既存の業種別重点(産業機械、航空・防衛、エレクトロニクス、自動車、医療機器など)でクラウド化やソフトウェア化する顧客に対し機能を広げる計画です。同社は買収を成長戦略の一部としており、例えば2022年に約2.78億ドルで買収したIntland(ALM)や2023年に取り込んだServiceMax(SLM)を通じてサービス領域とソフトウェア開発領域の商材を補強し、30,000社超の顧客基盤と7,000人超の従業員を活用して市場浸透を図っています。

技術革新への取り組みでは、クラウドネイティブのOnshapeやWindchill+、Creo+、Kepware+といったSaaS化、モノのインターネット(ThingWorx)や拡張現実(Vuforia)、人工知能や生成設計・積層造形(付加製造)などを製品に組み込み、設計から現場までの生産性向上を目指しています。同社はインドやボストンに研究開発拠点を持ち、製品のSaaS移行とクラウド基盤投資を通じて、リアルタイムの共同作業やデータ活用で競合との差別化を進めています。