ABERCROMBIE & FITCH COANF

時価総額
$41.7億
PER
8.9倍
アパレル小売の大手。マルチブランドのオムニチャネル販売と会員制ロイヤルティプログラムを展開。2024会計年度に株式を2.3億ドル買戻し、2025年3月5日に13億ドルの買戻し枠を承認。北米・欧州・アジアで展開。

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企業概況
133文字)
業績概況
テーマ
1項目)
ブランド
3項目)
ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

ABERCROMBIE & FITCH COはグローバルな専門衣料小売企業で、若年層を中心にカジュアルな衣料や下着、アクセサリーを自社ブランドで展開しています。同社は直営店舗と自社のオンラインサイトを通じて商品を販売し、実店舗とデジタルを組み合わせた購買体験を重視しています。

主要な顧客はトレンド志向の若年消費者で、売上の大半は直販(直営店とオンライン)が占めます。同社は春と秋の季節商戦に依存する一方、会員向けのロイヤルティプログラムや有名人・影響力のある人物との協業でリピート購入と客単価の向上を図っています。

同社は地域別にアメリカ大陸、欧州・中東・アフリカ(EMEA)、アジア太平洋(APAC)の三つの報告セグメントで事業を管理し、各地域の市場に合わせて商品構成や販促を調整しています。製品ラインは男女向け衣料、下着、アクセサリー、靴などを含み、商品調達や物流は自社と外部の配送拠点を組み合わせてグローバルに運営しています。

経営方針

同社は「Always Forward Plan」を成長の枠組みとして掲げ、持続的かつ収益性の高い成長を目指しています。具体的には2025年3月に取締役会が新たに承認した13億ドルの自己株買い枠(有効期限なし)を含む資本配分を通じて株主還元を強化しており、2024会計年度には前年に比べて1.6百万株、約2.3億ドルを自社株買いに充てました。市場評価の一指標としては、2024年8月時点の非関係者保有時価総額が約66.35億ドル、2025年3月末の発行済みClass A株数が約4,886万株である点も投資判断に有用です。財務面では堅実なフリーキャッシュフローと耐久性のあるバランスシートを維持することを重視しており、資本政策と事業投資の両立を目指しています。

重点的に投資する分野は店舗とデジタルの両輪で、店舗体験の近代化や地域ごとに最適化した「ブランドプレイブック」を用いた商品・声掛けの差別化を図っています。実際の投資額としては、2024会計年度の設備投資が1.829億ドルで前年の1.578億ドルから増加し、2025会計年度は約2.00億ドルを見込んでいます。顧客リレーション強化では「myAbercrombie」「Hollister House Rewards」といったロイヤルティプログラムを通じて購入データと接点を活用し、リピート率と客単価の向上を狙っています。商品面では「優れた品質と着心地」を訴求し、品揃えのテストと追随(testing and chase)で需要に応じたアソートを素早く展開することが差別化の核です。

新市場開拓や事業拡大は自社店舗の最適化と第三者連携の併用で進めています。地域管理を強化するために事業をアメリカ、EMEA、APACの三地域で運営し、フランチャイズ、卸売、ライセンス等のパートナーシップを通じて新地への展開を加速しています。加えて既存のグローバル店舗ネットワークはリモデリングや小型化、立地の入れ替えによる生産性向上を図るマルチイヤーの最適化を実施しており、必要に応じてテナントとの交渉や店舗閉鎖も行うことで収益基盤を強化しています。

技術革新では基幹システムの刷新とクラウド移行を軸に、顧客・従業員体験とオムニチャネルの一貫性向上を目指しています。同社は複数年にわたるERPの置き換えとクラウド移行を進めており、デジタル投資は顧客ジャーニーの重要箇所に優先配分されています。サプライチェーン面では海上混雑や運賃高騰を受けて必要に応じ空輸を増やすなどの対策を取りつつ、敏捷な在庫モデルと価格戦略で需要対応力を高めることで、マクロ環境の変動下でもマージンとキャッシュフローの維持を図っています。