ALLSTATE CORPALL

時価総額
$530.7億
PER
11.4倍
自動車・住宅などの損害保険事業の米国大手。個人向け自動車保険、住宅保険、短期医療や団体向け福利厚生などの保険商品を展開。2024年8月13日に雇用向け福利厚生事業を約20億ドルで売却契約。米国・カナダ中心、欧州・アジア・豪州にも展開。

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企業概況
101文字)
業績概況
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ライバル企業
5社)
同業種の日本企業
4社)

事業内容

ALLSTATE CORP(以下、同社)は自動車保険や住宅保険などの個人向け損害保険を中核に、生命保険や短期医療保険、企業向け福利厚生、身元保護や家電・機器の延長保証といった保護サービスを提供する保険・金融サービス会社です。ブランド力とデジタル化を活かし、手頃で分かりやすい商品を直接販売と代理店網の両方で販売しています。

主な顧客は個人の保険契約者と企業の福利厚生担当で、販売チャネルは独立代理店や同社専属の代理店、さらに直接販売チャネルを組み合わせています。収益構造は保険料収入が中心で、保有契約に対する支払準備金に伴う投資収益やサービス収入も重要な収入源になっています。

事業は複数のセグメントで構成され、個人向け保険を扱う保護部門が主要な柱です。健康・福利厚生部門は雇用主向けの任意給付や小規模事業向けのグループ保険、個人向けの短期医療やメディケア補足などを扱い、2024年には同部門が連結売上の約4%を占めました。加えて、データ解析やテレマティクスを手掛ける事業(Arity)や身元保護サービス、消費者向け延長保証といった補完的な製品ラインを通じて顧客接点とリスク管理を強化しています。

経営方針

同社は「Transformative Growth」と呼ぶ中期戦略を通じて個人向け損害保険の市場シェア拡大と保護(プロテクション)領域の拡張を目指しています。具体的には、顧客接点の拡大や顧客獲得力の強化に資金を投入し、複数の販売チャネルで「手頃で、シンプルで、つながった」商品を提供することを目標としています。直近の成果としては連結の保有契約数が2億800万件と前年から7.2%増加し、株主資本利益率は2024年に25.8%を記録するなど、成長と収益の両立を重視しています。

重点投資分野はデジタル化、データ・分析、人材、チャネル開発であり、これが同社の差別化の源泉です。同社は低コストのデジタル提供者をめざし、保険商品だけでなく非保険の保護サービスも展開して差別化を図っています。販売面では独立代理店チャネルの強化(National Generalの買収による拡大)やProtection Servicesの配販ネットワーク拡充により、販売経路の多様化を進めています。一方で自然災害リスク管理のために一部州で住宅保険の規模を縮小するなど、リスクと成長のバランスをとる施策も実行しています。

新市場や事業の拡大については、選択的なM&Aと資産売却を組み合わせてポートフォリオ最適化を進めています。例えば雇用者向けボランタリーベネフィット事業は約20億ドルで売却する契約を交わし、グループヘルス事業も約12.5億ドルで売却予定とするなど、成長余地の大きい領域へ経営資源を集中させる方針です。Protection Servicesは米加を中心に拡大を続け、Allstate Protection Plansは欧州・アジア・豪州でも展開しており、既存ブランドと新たな提携で市場アクセスを広げる計画です。

技術革新への取り組みでは、顧客獲得と価格設定、損害処理の効率化を目的に新しい技術基盤の構築とデータ活用を進めています。具体的にはテレマティクスや行動データを活用するArityや、Allstate Identity Protectionなどのサービス連携、社内でのソフトウエア投資(2024年時点で資産計上された社内用ソフト関連の残高など)を通じて実装速度を上げています。ただし同社は生成型人工知能などの新技術について成熟度や規制・倫理面のリスクを認識しており、法令順守と説明責任を果たしながら段階的に導入・運用する姿勢を示しています。